三勿
「三勿」は「三つの勿れ(なかれ)」ということで、中村天風は次の3つの感情を挙げています。
- 怒らない ●恐れない ●悲しまない
でも、この3つの感情をなくさなければならないのではありません。感情が沸くのは自然の摂理ですが、このマイナスの感情に振り回されないようにしなければいけないのです。つまり、感情をしっかりとコントロールできる人でなければなりません。
三行
「三行」は、人としてすべきことで、中村天風は次の3つを挙げています。
- 正直 ●親切 ●愉快
【正直】…本心や良心に恥じない行動をすること
正直とは、嘘や偽りを言わないことですが、これを形式的にとらえると世間は狭くなり、身動きがとれなくなります。時には善意の嘘をつかなければならない場合もあります。単純に正直を実行するのではなく、本心や良心にかなった行動をすることが、「正直」なのです。
【親切】…本心や良心から現れた他愛の行動
中国古代の儒家の孟子が言った「惻隠(そくいん)の心」のことで、人をあわれむ心のことです。孟子は「惻隠の心」は誰の心にも生まれながらに具わっていて、この心が行動に現れたものを「仁」といい、天風は「親切」と言いました。
【愉快】…正直や親切といった本心や良心から発した行動をとったときの言いようのない喜びのこと。
心の中には霊性・理性・感情・感覚・本能といったレベルがあり、どのレベルでも愉快という感情はありますが、天風は霊性から発した愉快を最上としています。
三勿三行の実践が積極的な心を保つ極意なのです。
天風は、尊厳なる人生を確保するためには「随所に主となる」という理想的の人とならなければいけません。それには理屈なしに三勿三行を厳格に実行することだと言っています。